ヘッドスパとは主に頭皮をもみほぐし、シャンプー、クレンジング、トリートメントなどの施術を行うリラクゼーション方法です。サロンによってウェットヘッドスパ、ドライヘッドスパなどの違いはありますが、疲れを癒す効果が高いことで人気があります。今回はヘッドスパサロンの開業に先立ち、基礎知識や準備、開業のステップを解説します。
ヘッドスパサロン開業に向けて必要なことは?
ヘッドスパサロンを開業するには、どのような準備が必要なのか解説します。
開業形態
ヘッドスパサロンにはヘッドスパ専門店、サロン併設、出張サービスなど、さまざまな開業形態があります。まずはそれぞれの特徴、メリット・デメリットを比較検討し、自身の状況や目標に合った形態を選ぶことが大切です。
資格
ヘッドスパサロンの種類によって、資格の要不要が異なります。
- ウェットヘッドスパ:美容師免許必須です。
- ドライヘッドスパ:必須資格はありませんが、民間資格取得で差別化や顧客獲得に有利です。
その他、必要な知識・スキルとしては以下が挙げられます。
- 頭皮の構造・生理学
- 顧客対応
- 経営管理など
準備事項
開業前の準備事項としては、以下のようなものがあります。
- 資金計画:開業資金、運転資金を明確に算出して経営の見通しを立てます。
- 物件選定:立地、広さ、設備などを考慮し、最適な物件を選びます。
- 設備・備品:メニュー内容に合わせ、必要品をそろえます。
- メニュー開発:顧客ニーズ、競合分析に基づき差別化を図るためのメニューを設定します。
- 価格設定:適切な価格設定で利益確保と顧客獲得のバランスを見ることが大切です。
- マーケティング:ホームページ、SNS、広告などを活用した集客戦略を検討します。
- 顧客管理:顧客の利便性および情報管理のために、予約システム、顧客情報管理システムの導入を検討します。
運営方法
スムーズな運営を実現するために、以下の項目について考慮します。
- 予約:オンライン予約システム導入などを含め、予約の受け付けとスケジュール管理体制を整備します。
- 顧客管理:カルテ作成で個々の顧客ニーズに合わせたサービス提供を目指します。
- 衛生管理:タオル、器具の消毒など衛生管理の徹底を図ります。リース契約による調達などを検討するのも一つの方法です。
- スタッフ教育:顧客満足度向上のためには、技術および接客マナー教育が求められます。
開業支援
ヘッドスパサロンの開業・経営を円滑にするためには、コンサルタント、スクール、フランチャイズなど開業支援サービスを活用するのが有効策です。
ヘッドスパの種類と特徴
ヘッドスパは大きくは、ドライヘッドスパとウェットヘッドスパの2種類に分類されます。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
ドライヘッドスパ
髪を濡らさずに、専用のオイルやクリームを使って行うヘッドスパです。
手軽に受けられる、リラックス効果が高い、頭皮ケアに効果的といった特徴があります。
ウェットヘッドスパ
髪を濡らしてシャンプー、トリートメント、頭皮ケアなどを行うヘッドスパです。
頭皮のクレンジング、髪の毛のケア、リラクゼーション効果が得られるなどの特徴があります。
その他の種類
その他、ヘッドスパの特別メニューとして代表的なものを紹介します。
- 炭酸ヘッドスパ:炭酸水を使用することで、血行促進や頭皮のクレンジング効果を高めるヘッドスパです。
- アロマヘッドスパ:アロマオイルを使用することで、リラックス効果を高めます。
- ヘッドスパ機器を使ったヘッドスパ:機器を用いて頭皮ケアを効果的に行います。
ヘッドスパサロン開業のコスト
ヘッドスパサロン開業には、大きく分けて以下の4つのコストがかかると想定されます。
1. 開業資金
- 物件取得費:店舗の購入・賃貸費用
- 内装工事費:店舗の改装・修繕費用
- 設備・備品購入費:シャンプー台、施術ベッド、タオル、リネン類など
- 開業準備費用:許認可申請費用、広告宣伝費用など
上記の一般的な費用相場は以下のとおりです。
- 物件取得費:100万円~数千万円
- 内装工事費:50万円~100万円
- 設備・備品購入費:50万円~100万円
- 開業準備費用:10万円~50万円
2. 運転資金
- 家賃:店舗の賃貸料
- 人件費:スタッフの給与
- 光熱費:電気代、水道代、ガス代
- 消耗品費:シャンプー、トリートメント、オイルなど
- 広告宣伝費:ホームページ制作費、チラシ印刷費など
運転資金については、店の規模によっても大きく異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
- 家賃:5万円~20万円
- 人件費:10万円~30万円
- 光熱費:2万円~5万円
- 消耗品費:5万円~10万円
- 広告宣伝費:5万円~10万円
3. 予備資金
開業当初は売上が安定しないため、数か月分の生活費を確保する必要があります。資金が多いほど安定が見込めますが、少なくとも50万円~100万円は準備したいところです。
4. その他
- コンサルタント費用:開業コンサルタントを利用する場合
- フランチャイズ加盟金:フランチャイズ加盟する場合
ヘッドスパサロンの開業までのステップ
ヘッドスパサロンを開業する流れと、各段階で必要な手配や準備などについて紹介します。
1.開業準備
▶︎ 市場調査
競合店の状況について立地、料金、サービス内容などを調査し、自店の差別化ポイントを明確にします。ターゲット層を絞り込み、顧客ニーズに合致したサービス内容を開発するためのデータを集めます。
▶︎ コンセプト・メニュー開発
自店の強みや差別化ポイントを活かしたコンセプトを策定し、魅力的で誘因力のあるヘッドスパサロンを目指します。先の調査データをもとに、顧客ニーズに合致した魅力的なメニューを検討します。
▶︎ 資金計画
内装工事費、設備費、運転資金など開業資金を算出します。自己資金で不足する部分については、必要に応じて金融機関への融資申請、補助金の活用などを行います。先に示したコストを考慮し、無理なくまた漏れのない計画にすることが大切です。
▶︎ 物件選定
店舗の立地は経営成功の大きな要因です。ターゲット層に合わせた立地であること、提供するメニューやスタッフ数に合わせた広さであることが求められます。シャンプー台、施術用ベッド、受付カウンターなど必要な設備についての確認も必要です。
▶︎ 設備・備品購入
メニュー内容に合わせ、必要な設備・備品をそろえます。複数の業者から見積もりを取り、価格や品質バランスを比較検討します。
▶︎ 資格取得
ウェットヘッドスパを提供する場合は、美容師免許が必要です。新たに取得する場合は、美容学校に通学する必要があります。
▶︎ 許可申請
営業許可など必要な許可を取得します。税務署への開業届提出も必要です。
▶︎ スタッフ採用
必要に応じてスタッフを募集します。採用基準を明確にし、適性のある人材を採用することが大切です。
▶︎ マーケティング計画
ホームページ、SNS、広告などを活用して効率的な集客を行います。ターゲット層に合わせたマーケティング戦略を策定することが重要です。
2.開業前
▶︎ 内装工事
店舗の改装や必要に応じて修繕を行います。内装工事の実施に際しては、業者の選定、見積もり依頼、工事監理が必要です。
▶︎ 設備・備品の設置
購入した設備・備品を設置します。店のコンセプトやイメージを具現化できるよう、インテリアにも配慮しましょう。
▶︎ スタッフ研修
マニュアルや運用ルールを作成し、スタッフに研修を行います。技術向上、接客マナー教育などを実施しながら、サービス品質の均一化を目指しましょう。
▶︎ プレオープン
関係者やモニターを対象に試行営業を実施します。本格オープンに向けて課題の発見と改善に役立てる機会とし、最終的な調整を行いましょう。
▶︎ グランドオープン
本格的に営業をスタートします。
3.開業後
▶︎ 集客・リピーター獲得
集客活動についての状況把握と見直しを行い、顧客獲得に努めます。サロン内で顧客満足度向上への意識を浸透させ、リピーターを増やすことに注力しましょう。
▶︎ スタッフ教育
定期的に研修を行い、スタッフの技術向上と接客マナー向上を図ります。課題があれば全員で共有し、組織的に改善する姿勢が大切です。
▶︎ 経営管理
売上、経費を管理し、収益性を向上させる方向性を探ります。効率性を考えながら、サービス品質の維持とのバランスの良い経営管理を目指しましょう。
▶︎ リスク管理
クレーム対応、トラブル対応などのリスク管理体制を構築します。インシデントが発生した場合にはスタッフ一人の問題ではなくサロン全体の課題と捉えましょう。迅速な課題解決に向けた行動に移せるよう、日頃から意識を高めておくことが大切です。
ヘッドスパサロンの開業に必要な点を把握し、スムーズな開業を目指そう
ヘッドスパサロンは種類によっては特別な資格を必要とせず、比較的開業資金を抑えながら開業ができます。一方で、人気のサロンとなるためには、施術と経営に関しての十分な理解と、入念な準備が求められます。
安易に考えることなく、開業までの流れをしっかりと把握して円滑な運営に向けて取り組んでいきましょう。
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リラクゼーションと併せて、より広範囲のエステ事業をお考えの際にはぜひご検討ください。