近赤外線は紫外線と同様に太陽光に含まれ、自然に存在する光線です。さまざまな分野で活用されていますが、一方で自然の近赤外線は肌や目にダメージを与えます。一般的に紫外線よりも知名度が低いため、どのような光線なのかあまり知らないという人もいるのではないでしょうか。今回は近赤外線の基本的な知識と、日常的なダメージへの防止対策、さらに美容分野での活用と効果について解説します。
近赤外線とは?
近赤外線とは可視光線の赤色よりも波長が長く、遠赤外線よりも波長の短い光です。この光線は人の目には見えず、太陽光や熱源から発せられています。
近赤外線の波長範囲は約0.7~2.5μmで、それよりも長い2.5~4μmが中赤外線、遠赤外線は4~1000μmとされています。
近赤外線の主な特徴は、以下のとおりです。
- 透過性:皮膚や衣服を透過し、身体の深部まで届きます。
- 熱作用:物質に吸収されると熱に変換されるため温かく感じます。
自然界に存在する近赤外線には、以下の3つがあります。
- 太陽光:太陽光の約50%を占めています。
- 地熱:地熱から発せられます。
- 生物発光:ホタルなどの生物が発する光もあります。
類似の主な光線との違いは以下のとおりです。
- 遠赤外線:先に説明したように波長が最も長い赤外線です。熱作用が強く、温熱効果が高いのが特徴です。
- 紫外線:波長は0.1~0.4μmと短く、DNAを傷つける可能性があり、日焼けや皮膚がんの原因となります。
近赤外線のメリットとデメリット
近赤外線は美容で適切に取り入れることもできるメリットがある一方で、人体に影響を及ぼすデメリットもあります。
近赤外線のメリット
近赤外線は、可視光線よりも波長が長い光です。このため散乱されにくく、長距離伝送に適しています。また、比較的安価な光源で発生させられることから、医療、産業、通信、軍事、美容などさまざまな分野で利用されています。
以下、近赤外線のメリットと具体的な応用例を紹介します。
医療分野
温熱療法
近赤外線は、皮膚や筋肉を深部から温めることができます。血流を促進することで、筋肉の緊張をほぐしたり、痛みを和らげたりする効果が期待できます。具体的には、以下のような症状に効果的です。
- 肩こり
- 腰痛
- 関節痛
- 冷え性
- 慢性疲労症候群
レーザー治療
近赤外線レーザーは、特定の組織にピンポイントで照射が可能です。この特性を活かして、以下のような治療が行われています。
- がん治療
- 眼科治療
- 皮膚科治療
- 歯科治療
画像診断
近赤外線は、生体組織の透過性が高いため、画像診断にも利用されています。具体的には、以下のような検査に使用されています。
- 脳機能検査
- 乳房検査
- 血管検査
産業分野
非破壊検査
近赤外線を利用すれば、物体の内部を透過して検査することができます。この特性を活かして、以下のような非破壊検査が行われています。
- 食品検査
- 薬品検査
- 半導体検査
- 建築物検査
乾燥
近赤外線は、物質を乾燥させるために利用されています。たとえば、以下のような乾燥処理が行われています。
- 食品乾燥
- 医薬品乾燥
- 塗料乾燥
- 印刷物乾燥
加熱
近赤外線は、物体を直接加熱することができます。この特性を活かして、以下のような加熱処理が行われています。
- 食品加熱
- プラスチック成形
- 金属加工
- 接着剤硬化
通信分野
赤外線通信
近赤外線は光ファイバーケーブルを使用せずに、短距離の通信を行うことができます。この特性を活かして、以下のような通信に使用されています。
- リモコン
- ワイヤレスマウス
- 赤外線通信機器
美容分野
血流促進
近赤外線は筋肉の深部にとどき、身体を温めて血管を拡張させる効果を発揮します。その結果、副次的に血流が促され、酸素や栄養素を運び混むことや線維芽細胞を刺激することで、コラーゲン生成を促すことが期待できます。
シワ改善
近赤外線は血流を促進する効果があります。この効果を活かして、シワやたるみを改善する効果を期待できる美容機器が開発されています。
近赤外線は生体に高い浸透力を持ち、皮膚表面だけでなく筋肉、血管、神経など身体の深い部分まで到達する特徴があります。このため、照射された部位の血流が改善される効果が期待できるでしょう。また、神経の興奮を抑制する作用があり、痛みの軽減にも役立てられています。
近赤外線のデメリット
近赤外線は紫外線と異なりDNAには影響を及ぼさないものの、波長が長く真皮や皮下組織の中に浸透しやすい性質を持ちます。近年、医療や美容などさまざまな分野で利用されていますが、浴びすぎると人体に悪影響を及ぼす可能性があります。
以下は近赤外線の影響により考えられる例です。
肌への影響
コラーゲン破壊による肌の老化
近赤外線は、皮膚の奥深くまで到達し、コラーゲンやエラスチンなどの線維を破壊します。コラーゲンは、肌のハリや弾力を保つ重要な成分です。そのため、近赤外線によるコラーゲン破壊は、シワ、たるみ、ほうれい線、毛穴の開きなどの肌老化現象を引き起こす可能性があります。
筋膜へのダメージ
近赤外線は、筋膜と呼ばれる筋肉を包み込む膜にもダメージを与え ます。筋膜が損傷すると、筋肉の動きがスムーズではなくなり、肩こり、腰痛、関節痛などの症状が現れることがあります。
目への影響
角膜炎
近赤外線は、角膜に炎症を引き起こす可能性があります。角膜炎の症状としては、目の痛み、充血、かすみ目、まぶたの腫れなどが挙げられます。
白内障
近赤外線により、水晶体を濁らせる白内障のリスクを高める可能性があります。白内障の進行では視力低下、ぼやけた視界、まぶしさなどの症状が現れます。
加齢黄斑変性症
近赤外線により、加齢黄斑変性症の発症リスクを高める可能性があります。加齢黄斑変性症は、網膜の中心部分に障害が起こる病気です。進行すると、失明に至ることもあります。
その他
熱傷
近赤外線は、大量に浴びると熱傷を引き起こす可能性があります。特に目や皮膚は熱に弱いため、注意が必要です。
発がん性
近赤外線に発がん性があるかどうかについては、まだ十分な研究結果が出ていません。しかし、動物実験では、皮膚がんのリスクが高まることが示唆される結果も出ています。
近赤外線の対策ポイント
自然にある近赤外線のデメリットを防ぐための対策について紹介します。
日焼け防止対策
- 日陰を選んで歩く:日陰は日向よりも近赤外線量が少なく、光老化のリスクを低減できます。
- 帽子や長袖の服を着用する:帽子や長袖の服で肌を覆うことで、近赤外線から肌を守ることができます。
- 日傘を使う:日傘は近赤外線を反射する効果があります。
- 近赤外線カット効果のある日焼け止めを使用する:塗布することで近赤外線から肌を守ります。
目からの光線を防止
紫外線と近赤外線の両方をカットするレンズのサングラスを使用することで、光線によるダメージを軽減します。
内服によるケア
- 抗酸化物質:ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなど、抗酸化物質を含む食品を積極的に摂ることで、近赤外線によって発生する活性酸素を除去することができるとされています。
- ルテイン:目に多く含まれるカロテノイドの一種で、近赤外線から目を保護する効果が期待できます。
近赤外線の美容活用法(美容効果)について
美容ケア分野で近赤外線を活用しているケースもあります。具体的な機器の例には以下が挙げられます。
▶︎ タイタン
近赤外線を用いることで皮膚の深部で働き、老化によってゆるんだ線維や変性したコラーゲン線維を引き締め、リフトアップする効果が期待できます。
また、近赤外線が真皮層を加熱することで皮膚のハリや若々しさを保つ線維芽細胞に働きかけ、老化した線維芽細胞を活性化します。これによって新しいコラーゲン線維の生成が促進されます。BBLsスキンタイト近赤外線を用いて皮膚のたるみやハリを改善する効果が期待できる施術方法です。
また、小じわの改善も期待できます。施術はほとんど痛みがなく、初めての人でも安心です。
近赤外線を活用した施術メニュー例は以下のとおりです。
- 血行促進:血行を促進することで、肌細胞に酸素や栄養を送り、老廃物の排出を促す
- コラーゲン生成促進:コラーゲン生成を促進することで、ハリや弾力のある肌を目指す
- ターンオーバー促進:ターンオーバーを促進することで、古い角質を除去し、新しい角質を作る
- シワ・たるみ改善:血行促進やコラーゲン生成促進により、シワやたるみを改善する効果が期待できる
- ニキビ・肌荒れ改善:殺菌作用や抗炎症作用により、ニキビや肌荒れを改善する効果が期待できる
近赤外線のメリットとデメリット両面を理解しよう
近赤外線は太陽光の多くを占め、身近に存在する光線です。特徴と影響を正しく知ることで、身体に対するダメージを防止すると同時に、メリットを活かした美容への活用がされています。すでに近赤外線の機器や施術を取り入れているエステサロンもあり、実際にどのような効果があるのかを確認できます。新たな取り組みとして、近赤外線をメニューに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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